2021.08.26
連載42区
「寂しかったスーパースターの現役ラストラン」
みなさん、東京五輪はもちろん応援していましたよね!?
みなさん、こんばんは!
1年の延期を経て開催された東京オリンピック。17日間にわたって行われた大会が無事に幕を下ろしました。男子3000m障害から始まった陸上競技は、1組目の三浦龍司選手(順天堂大学2年)が日本人初の7位入賞を果たすなど、若きエースが世界の舞台で活躍を見せました。みなさんもご覧になりましたか? どんな競技、シーンが印象に残っていますか?
女子1500mで歴史的快挙!
今回の東京五輪は33競技339種目ありましたが、その中で私が最も印象に残っているのは陸上女子1500mです。この種目ではまず予選2組に卜部蘭選手(積水化学)が登場しました。結果は準決勝進出には届かなかったものの、自己ベストを更新する4分07秒90秒をマーク。少し悔しそうな表情を浮かべていましたが、オリンピックの陸上女子1500mに日本人選手としての出場自体が史上初めてなのです。
そして、なんといってもこの種目で大きな衝撃を残したのは、田中希実選手(豊田自動織機TC)。予選3組に出場し、自身が持つ日本記録を更新する4分02秒33の4位でフィニッシュ。続く準決勝でも勢いは止まることなく、日本女子初の4分を切る、3分59秒19の5着で決勝進出を決めました。2度の日本記録更新での決勝進出に日本中が歓喜に沸きましたが、最後の決勝でも堂々の8位入賞を果たし、女子中距離界の存在を世界に印象づけました。
同志社大学に通い勉強にも力を注ぎながら、豊田自動織機TCに所属し、競技に励む、まさに文武両道を体現しているストイックな田中選手。フィニッシュ後のインタビューでは、すでに3年後のパリオリンピックを見据えた言葉を残していました。パリの舞台でも活躍する田中選手を楽しみにこれからも応援していきたいです!
駅伝を見始めた時からスーパースターの大迫選手
最終日に行われたマラソンでもさまざまな出来事がありました。
今回は気温の関係などで、男女ともに無念の途中棄権をされる選手が多かったので、少し心配もありました。しかし日本代表の6名が無事に最後まで走り抜きいてホッとした気持ちになりました。なかでも服部勇馬選手(トヨタ自動車)が熱中症になりながらも、最後まで強い気持ちで走り抜いた姿は応援する私にもグッと込み上げてくるものがありました。
そしてなにより驚いたのが大迫傑選手(NIKE)の引退発表。7月29日、自身のTwitterで「8月8日のマラソンを現役選手としてのラストレースにします」と引退を突然表明されたのです。選手寿命というものがあるのがスポーツ。いずれは必ず競技を退く日が訪れるのは仕方ないことですが、大迫選手の引退にはただならぬ寂しさを感じました。
私が箱根駅伝を見始めたのは中学生の頃。東洋大学が優勝を果たした第88回大会年です。ここから私は駅伝を本格的に見るようになったのですが、9年経った今でもこの大会のことはよく覚えています。1区で区間賞を獲得したのが、当時・早稲田大学の大迫選手でした。
実況アナウンサーの方が「早稲田大学の大迫が2年連続1区区間賞!」と声を高らかに実況されているのを聞き、「あー、この人がすごい選手なんだ」と中学生の私は漠然とながら、『大迫選手=強い』という印象がついていたのです。その印象通り、大迫選手はトラックでも駅伝でも輝かしい成績を残していき、「学生最速ランナー」と評価されていきました。大学4年生の時には、箱根駅伝を前に単身でアメリカへ行き、約1カ月間の強化留学に挑戦するなど、既存のトレーニング枠にとらわれない先駆者として、陸上界にインパクトを与えてきました。実力はもちろん、長距離界の開拓者としての姿を見せてくださった大迫選手は、私にとって駅伝を好きになり始めたときから今までずっとスーパースターのような存在なのです。
これは駅伝に限らず、他のスポーツでも通じることだと思いますが、その競技を好きになった時の推し選手は自分の中で何年経っても色あせない特別な存在だったりしませんか……? これまで陸上界を牽引して盛り上げてくださり、一ファンとして沢山楽しませていただきました。大迫選手が引退を発表されとても寂しいのですが、ラストランを目に焼きつけられたことはとても幸せです。
6位入賞を果たした後のインタビューでは、「後は次の世代に託します」と言葉を残していました。その後すぐさま、オリンピック10000m男子代表として出場した私と同い年である伊藤達彦選手(Honda)が自身のTwitterで「大迫さんに続くぞー!!!」と反応をしていました。自分が子供の頃、箱根駅伝を走っていた選手が陸上界を牽引し、今度は私と同世代の選手の方々が世代を引き継ごうとしている光景に感無量の思いでいっぱいでした。次の世代が築き上げる陸上界もとても楽しみです。
自国開催の熱く盛り上がったオリンピックをテレビで観戦できた17日間は思い出深いものとなりました。パリでは更なる成功を願い、そして感動を目の前で分かち合える状況下になることを願って、3年後のオリンピックも楽しみに待っていたいと思います。
最後に。8月25日(水)〜29日(日)に私が出演予定でした舞台『家族のはなし』が延期となりました。1ヵ月間稽古を重ねてきた舞台が延期になるのは非常に悲しいですが、今はどこで誰が感染してもおかしくない世の中です。私もより一層気を引き締めて生活していきたいと思います。みなさんもどうかご自愛ください。
延期になりましたが舞台「家族のはなし」に一緒に出演する安藤千伽奈と!
※Twitterのハッシュタグ「♯西村菜那子の陸上日記」で感想や質問、コラムの内容など随時募集中!
前回の記事はこちら
※しばらくの間は月1回、最終週木曜日更新となります。
![]() NGT48 西村菜那子(にしむら・ななこ) 1997年8月11日生/O型/長野県出身 特技:クラシックバレエ、歴代の箱根駅伝の優勝校を暗記 趣味:陸上観戦、サッカー観戦 2015年にNGT48第1期生オーディションに合格。両親の影響で幼い頃から駅伝を好きになる。アイドルとしての活動を続ける中で、自身のSNSを通して陸上競技に関する情報を発信。駅伝関連のメディア出演も多数。 西村菜那子モバイルサイト ●Information NGT48 6thシングル『Awesome』発売中!©︎Flora ![]() 最新情報はNGT48公式HPまで 『NGT48ゲーム部』(Mildom)レギュラー出演中!/舞台『家族のはなし』8月25日~29日東京・六行会ホール※延期となりました詳細は公式HPまで |
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連載42区 「寂しかったスーパースターの現役ラストラン」
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女子1500mで歴史的快挙!
今回の東京五輪は33競技339種目ありましたが、その中で私が最も印象に残っているのは陸上女子1500mです。この種目ではまず予選2組に卜部蘭選手(積水化学)が登場しました。結果は準決勝進出には届かなかったものの、自己ベストを更新する4分07秒90秒をマーク。少し悔しそうな表情を浮かべていましたが、オリンピックの陸上女子1500mに日本人選手としての出場自体が史上初めてなのです。 そして、なんといってもこの種目で大きな衝撃を残したのは、田中希実選手(豊田自動織機TC)。予選3組に出場し、自身が持つ日本記録を更新する4分02秒33の4位でフィニッシュ。続く準決勝でも勢いは止まることなく、日本女子初の4分を切る、3分59秒19の5着で決勝進出を決めました。2度の日本記録更新での決勝進出に日本中が歓喜に沸きましたが、最後の決勝でも堂々の8位入賞を果たし、女子中距離界の存在を世界に印象づけました。 同志社大学に通い勉強にも力を注ぎながら、豊田自動織機TCに所属し、競技に励む、まさに文武両道を体現しているストイックな田中選手。フィニッシュ後のインタビューでは、すでに3年後のパリオリンピックを見据えた言葉を残していました。パリの舞台でも活躍する田中選手を楽しみにこれからも応援していきたいです!
駅伝を見始めた時からスーパースターの大迫選手
最終日に行われたマラソンでもさまざまな出来事がありました。 今回は気温の関係などで、男女ともに無念の途中棄権をされる選手が多かったので、少し心配もありました。しかし日本代表の6名が無事に最後まで走り抜きいてホッとした気持ちになりました。なかでも服部勇馬選手(トヨタ自動車)が熱中症になりながらも、最後まで強い気持ちで走り抜いた姿は応援する私にもグッと込み上げてくるものがありました。 そしてなにより驚いたのが大迫傑選手(NIKE)の引退発表。7月29日、自身のTwitterで「8月8日のマラソンを現役選手としてのラストレースにします」と引退を突然表明されたのです。選手寿命というものがあるのがスポーツ。いずれは必ず競技を退く日が訪れるのは仕方ないことですが、大迫選手の引退にはただならぬ寂しさを感じました。 私が箱根駅伝を見始めたのは中学生の頃。東洋大学が優勝を果たした第88回大会年です。ここから私は駅伝を本格的に見るようになったのですが、9年経った今でもこの大会のことはよく覚えています。1区で区間賞を獲得したのが、当時・早稲田大学の大迫選手でした。 実況アナウンサーの方が「早稲田大学の大迫が2年連続1区区間賞!」と声を高らかに実況されているのを聞き、「あー、この人がすごい選手なんだ」と中学生の私は漠然とながら、『大迫選手=強い』という印象がついていたのです。その印象通り、大迫選手はトラックでも駅伝でも輝かしい成績を残していき、「学生最速ランナー」と評価されていきました。大学4年生の時には、箱根駅伝を前に単身でアメリカへ行き、約1カ月間の強化留学に挑戦するなど、既存のトレーニング枠にとらわれない先駆者として、陸上界にインパクトを与えてきました。実力はもちろん、長距離界の開拓者としての姿を見せてくださった大迫選手は、私にとって駅伝を好きになり始めたときから今までずっとスーパースターのような存在なのです。 これは駅伝に限らず、他のスポーツでも通じることだと思いますが、その競技を好きになった時の推し選手は自分の中で何年経っても色あせない特別な存在だったりしませんか……? これまで陸上界を牽引して盛り上げてくださり、一ファンとして沢山楽しませていただきました。大迫選手が引退を発表されとても寂しいのですが、ラストランを目に焼きつけられたことはとても幸せです。
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2025年3月号 (2月14日発売)
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